第146回大阪ベンチャー研究会(ご報告)

 ◆第146回研究会(3月17日)は無事終了しました。テーマ(「環境・エネルギーとベンチャー」)に関連した事業をされている3社の経営者の皆様に発表して頂きました。その後、若干の質疑応答と発表者を囲んで深堀のグループ・ディスカッションを行ないました。3社の講演内容と議論の一部をこのブログ・ページで紹介しますのでご覧下さい。なお、メールやHPでお知らせした事前の案内文も別ページに再録していますので覧下さい。当日は、環境・エネルギーについて、いろいろと、新しい情報を得ることができました。発表下さった皆様、そして聴講と議論に参加下さった皆様に厚く御礼を申し上げます。

◆研究会後の交流会&懇親会も多数お残り頂き、研究会の延長で議論や交流が行なわれるとともに、会員の㈱ミュー代表取締役の大塚尚武様が、今年、世界で最大規模の「Challenge Cup Global」に出場され、西日本代表となられた後、世界75カ国で選出された各国の代表者の中から、さらに20人のファイナリストに残られ(全世界のウエブ投票)、322に、ワシントンDCで開かれる「 Finals & Closing Party」に出席のため渡米されることになりました。そこで、急遽、大塚様を祝賀し応援するため、「渡米壮行会」を開催することになりました。また、当日、シリコンバレーから帰国され、研究会と懇親会に参加された、友永哲夫様にも、最近のシリコンバレー情勢と、そこにも事務所を構えておられる、チャットワーク社長の山本敏行様が、先日(3月1日)、神戸市郊外の谷上に、新しい日本の「起業家拠点」(谷上プロジェクト)を立ち上げられたので、その関連の最新情報をスピーチ頂きました。これらで世界が急に身近に感じられるようになりました。懇親会の会場は大いに盛り上がりました。(「シリコンバレー視察帰国報告会&Meetup」が、4月13日午後6時半~、グランフロント大阪北館7階のOIHであります。ご参加下さい。次回の第147回大阪V研でこの谷上Pの第1号起業家の方の発表が行なわれます。)

◆さて、来月は、421日の開催ですが、例年通り、研究会の前に「総会」を開きます。年間総括と会計報告、活動計画、その他です。今年度の会員の皆様は、また、来年度から入会予定の皆様は(過去、会員だった皆様も)、是非、ご参加下さい。メールにても案内致しますが、案内が届かなかった方も遠慮なくご参加下さい。 午後1時半~2時、その後、研究会、6時10分~交流会&懇親会です。

                      小西一彦(大阪V世話人代表)

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三嶋電子㈱は、現在は、主に電子部品部材の調達と電子機器の生産・販売を行なっている会社ですが、2011年から新しく水電池の開発と発売も行なうようになりました。今回は、それを中心に話します。

水電池の事業に参入したのは、「地球上に、明かりがない地域が沢山ある。教育格差の問題などもそれが理由で起きている場合が多い。もし、それら地域に明かりを届けるならば、救える子供たちも沢山いるにちがいない」という思いがあったからです。また、現在、「乾電池は、使用済みになると産業廃棄物に分類される。しかし、水電池は家庭用の不燃物として処理が可能である。今後、産業廃棄物の処理問題が大きな社会問題になることは確実だ。水電池はこの課題への答になる。また、水電池の主な原料はマグネシウムとカーボンであるが、マグネシウムは海中等に豊富に存在しているし、カーボンも自然界に多く存在している。限りある地球資源を後世に残す為にも、豊富にある資源を利用する方が望ましいことは明らかである」という環境意識も理由でした。

水電池の製品は非常に多くの特徴を持っています。①水(H2O)を含んだ液体があればいつでも発電出来る。例えば、お茶、コーヒー、醤油、川の水、海水、など。災害などの非常時や停電時、屋外での工事、野外活動など、時と場所を選ばず、どこでも発電出来る。乾電池は自己放電する可能性があるが、水電池は水の吸収がない限り放電しない、水分の吸収さえ無ければ発電しない。長期間の保存が効く。液漏れがないので頻繁な点検が不要である。軽くて、持ち運びが容易である。携帯型懐中電灯では90ℊ、スマホ用緊急電池でも79ℊ、野外照明(LED78pcs, 4000LUX)でも電池部分は5.3㎏である。発電時に音、煙、熱を発することがない。長時間の連続点灯が可能である(12ケ月も可能)。分別廃棄が可能なのでエコである。寿命が長い、コストが安くつく、電圧と容量を用途に応じて同時にも上げることができる、等です。

水電池の発電原理は簡単です。①水を注ぐことで電解質が溶け出す、②マグネシュームと炭素からイオンが発生する、③電子が極から+極に移動する、以上で発電します。

これまでの採用実績としては、①大手企業のトンネル工事用で試験運用、②大手企業の地下倉庫、床下収納で浸水感知システム、③河川増水危険警告灯を国土交通省東北整備局で試験導入、④御殿場の時之栖(ときのすみか)で、万華鏡イルミネーション点灯中(連続5か月間)アイデア賞受賞、⑤企業や自治体に懐中電灯他の納入実績などがあります。メディアでは何度も紹介されています。受賞も多数あります。

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以上の講演を受けて、質疑応答とグループ・ディスカッションが行なわれました。技術や製品にメリットが沢山あるのはわかるが、使用の際、発電自体は即時性はあるが、水分の供給において課題がある、販売ターゲットは防災以外でもいろいろと考えられるのではないか、など、意見も出て、議論は沸騰しました。ともあれ、社会的意義は大きい、魅力的な事業なので、発展しそうで、先が楽しみです。         (記:小西一彦)

「三善電業㈱は、長年に亘る研究開発の末、平成15年に、高放射エネルギーを持った遠赤外線(育成光線)を放射する特殊セラミックの開発に成功しました。その後、その特殊セラミックをヒーターパネルにコーティングすることで画期的な床暖房パネルと壁暖房パネルを開発し平成15年より製造販売を始めました。平成27年より、就寝時に体を温める遠赤外線(育成光線)暖房マットを開発しています。」

講演の前半では、これら新製品の基礎である「特殊セラミック」とくに「育成光線」について説明し、後半では、これに関連して、私たちの「健康問題」、とくに「体温を上げる」ことの意義について話されました。

「全体を通じてのキーワードは「育成光線」ということですが、それは、私たち人間が目にすることができる「可視光線」の赤色の外にある「赤外線」の中の「遠赤外線」(光の波長で3~1000ミクロン)のさらにその中の「波長で4~14ミクロンの光線」のことであり、それが人体が発する電磁波と共鳴して、吸収されて、エネルギーに変わるので、「人体に最も良い影響を与える光線である」と言われている光線です。」

 「これまで市販の床暖房では、そのような育成光線の放射がないか、あってもわずかでした。存在や程度についての情報提供はなされていません。また、通電時間が長いので電気代も高い、などの欠点があります。しかし、同社の床暖房では、明白なデータの開示があり、セラミックは熱の保存性が高いので、光熱費も半分程度まで下げられ経済的です。今後、「床暖房」を購入する予定の人にとっては朗報です。購入前に、「育成光線」について、しっかりと勉強し、情報を集めて、比較しながら買うことが賢明でしょう。」

 後半では、この「育成光線」の意義について、高木さんのご家族で、ステージ4の肺癌が見つかり、更にステージ4の大腸癌が見つかり、手術で癌は取り除けたのですが、術後の抗癌剤は副作用が強く出て、中止することになったそうです。大腸癌が肺に転移しているので、転移する可能性があるのですが、医師からの指示は抗癌剤は使わず、検査をすることだけ。以前から低体温であることはわかっていたので、床暖房(育成光線)で体を温めて内臓の温度を上げ、免疫を上げることを続けたそうです。体温は35度台から36度台になり、癌の検査も6年が過ぎ、転移することもなく無事に卒業することが出来たそうです。内臓の温度を上げ免疫を上げると、病気から遠ざかることができると確信されたようです。

「人生100年時代が訪れようとしている今日、『健康長寿』が叫ばれて、いろいろな健康法も提示されているが、人間が健康に生きるために、まず、先にやらねばならないことは、内臓を冷やさないことである。内臓の温度が冷えると血流が悪くなり、本来の内臓が持っているパフォーマンスが発揮できなくなるからである。日本人の平均体温は60年前は36.89度だった。今は、36.2度で0.7度も下がっている。35度台は低体温と言われるが、そんな人がどんどん増えている。原因は、運動不足、ストレス過多、エアコン(クーラー)の普及、体を冷やす食物を年中食べている、などである。」「本来、人間に備わっている健康を保とうとする機能は、体温が36,5度~37度(内臓の温度は1度ほど高いので、375度~38度)ある事を前提に、最高のパフォーマンスが出来るようになっている。内臓が冷えると元気に働けなくなるが、内臓が温かくなってくると、最高のパフォーマンスが発揮できて、元気になれる

のです。」(配布資料から)

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講演の後、参加者から、パネルの大きさは?販売価格は?他社製品の機能は?など、いろいろな質問に答えられ、また、グループディスカッションでも、体温低下への予防法や食事療法、製品データの公認、販路開拓、などについて、活発な議論が行われました。参加者にとって、講演者にとっても、価値のある情報共有の場になりました。                         (記:小西一彦

◆まず、冒頭で、現在は、大阪市で一般廃棄物の処理業を行なっている。しかし、将来は、ゴミ商社から、環境商社に発展したいと考えている。このように抱負を述べられて、次に、①過去50年の日本の廃棄物問題・環境問題の歴史、②廃棄物と廃棄物業界の現状と問題点、③一般家庭用ゴミの処理問題と環境意識、について語られました。 

◆戦後50年の歴史を振り返ると、1970年代に、第1次オイルショックがあり、廃棄物の関連では公害問題が大きな社会問題になった。1980年代では、チェルノブイリ原子力発電所の大事故があり、1990年代には、阪神淡路大震災があった。ダイオキシン問題が話題になった。2000年代に入り、地球温暖化問題が全世界的に大きな問題になった。2010年代には、東日本で大震災が発生し、大量の廃棄物が出た。2017年12月、それまで世界の資源ごみを大量に輸入していた中国が、輸入停止に踏み切った。そのため、現在、大量の産業廃棄物で世界がゴミ化する可能性が出ている。

 ◆一般に排出物は、①有価物、②一般廃棄物、③産業廃棄物に大別されるが、区別が難しい。有価物はリユース、リサイクルに回される排出物である。1円でも売れれば有価物になる。但し、運搬費がそれ以上だと廃棄物法が適用されて廃棄物になる。一般廃棄物と産業廃棄物の区別もややこしい。前者の処理責任者は市町村で、後者は事業者である。処理事業者の許可権者は前者は各市町村長だが、後者は都道府県知事か政令市長である。処理事業者の数は、前者は非常に少ない、後者は非常に多い。大阪市には1万社以上の処理業者がいる。委託契約書は前者は必要ないが、後者は必要である。産業廃棄物の定義は廃棄物処理法で決められている。「1.事業活動に伴って生じた廃棄物のうち、燃え殻、汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリ、廃プラスチック類、その他政令で定める廃棄物、2.輸入された廃棄物(前号に掲げる廃棄物、「航行廃棄物」並びに「携帯廃棄物」を除く。)」である。これら以外の廃棄物が「一般廃棄物」である。

 ◆家庭から出るゴミ処理も重要問題である。「分ければ資源!混ぜればゴミ!」である。ゴミの排出者は、①適切な許可を有する「廃棄物処理業者」に委託すること、②法定記載事項を満たした「委託契約書」を作成保存すること、③産業廃棄物管理票(マニフェスト)の交付を受け保存すること、の3つは義務であることを知る必要がある。

 ◆以上のような、ゴミ処理に関係した業界の現状や問題点について、日頃、業界の関係者に行なわれているセミナーの内容を中心に話されました。そして、個人的には、社内で、①見えるところに環境方針を掲示する、②優良マークがついた許可証を表示する、③お客様と年1回現地見学ツアーを開催する、④環境関係の本の読み合わせ会をする、などの取り組みを行なっている。ゴミの商社から環境商社になりたいという思いで、セミナーを行い、社内改革をしている、と言い、話を終えられました。

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◆講演後の質疑応答とディスカッションでは、参加者からの質問に答えて、消費者も廃棄物リユースに協力して分別して出すが、回収の段階で混ざってしまうことがある、マンションの場合、分別する管理人は大変だが分別で売却が出来て収入になる、中国はともかく、カンボジアなどへは、まだ、廃棄物の輸出が可能である、など、詳しい説明もなされ、ゴミ処理問題と環境問題について、具体的な現場情報を得ることができ、高い社会意識形成の場にもなったように思いました。確かに、日本は、分別回収では先進国のようですが、環境意識など一般的には、ドイツなどと比べると、まだまだ、遅れた国ではないかと思われます。それだけに、ソーシャルビジネスやベンチャービジネスにとっては、チャンスも多そうで、宝の山かもしれません。     (記:小西一彦)