ご報告

       第142回大阪ベンチャー研究会のご報告

                             2017年11月20  

 第142回大阪ベンチャー研究会は、11月18日(土)に、盛況裡に開催し終了しました。今回のテーマは「若手起業家とベンチャー」でしたので、どの発表者も年齢は若く(36歳、35歳、31歳)、経営歴は短いですが、この後も大きな発展が期待できる、素晴らしい経営者たちでした。事業の内容には、既存にはない新規性が見られ、社会ニーズに見合っていて、持続可能性のある良いビジネスモデルであったと思います。懇親会の席上では、参加者から、自分の息子とあまり変わらない歳頃なのに非常にしっかりしている、とか、自分が30代の頃は、そこまでは考えてなかったなあ、などの発言があり、優秀な経営者ぶりに皆さん感心することしきりでした。

 

 第1報告者の森川さんは、お金目当てではなく、地域の皆さまに喜ばれることにビジネスの価値があると考えています、もちろん採算性は無視していませんが、どうやら父親と同じような人生選択をしてしまったようです、とのこと。現在、淡路駅(阪急)の近くで、ゲストハウス(木雲)を営まれ、30m近くにある実家の銭湯(昭和湯)も活用しながら、さまざまなイベントを開催されています。また、宿泊客には地元のお店を紹介したり経営コンサルなどもされていて、自社だけでなく地域全体で売上を上げていく(「ウルトラ銭湯」)、そして地域を楽しい居場所にしていく、そんなビジネスモデルですと説明されました。まさにソーシャルビジネス・ベンチャーですね。

         HP:http://mokumoku-mogumogu.com 

 第2報告者の飯坂さんは、「だんじり彫刻」を専門とするアーティストですが、昨今の少子高齢化やテクノロジーの進化、経済のグローバル化、職人業界構造の変化、人々の人生観・職業観の変化、などを考えると、発想の転換が必要である、旧い徒弟制度や業界構造、技術伝承方法、などに縛られないで、それらを超える、自分が本当にやりたいことを、やりたい方法で、やっていく、そんな生き方をしたいと思っている。そうすることで、人口減少や高齢化で衰退が危惧される地元地域(和泉市)の課題と向き合っていく、「だんじり」以外にも、いろんな分野に「彫刻」技術を生かした提案をしていきたい、そんなお話でした。先月のテーマ「芸術とベンチャー」の研究会でも発表して頂きたかった、もう1人の大阪の芸術ベンチャーを見つけました。

          https://valu.is/kanekiyo

     http://www.e-together.jp/partner/t01/profile.html

 

 第3報告者の辻川さんは、コンピューターの専門学校を卒業した後、大手のソリューション企業にSEとして入社され、コールセンターの構築などの大規模プロジェクトに携わられるが、仕事が制限的であったので、2年で独立し、デザイン・システムの一貫制作の会社(アンジップ㈱)を立ち上げられました。最初は勝手がわからないので、とくに人事問題で苦労されるが、神戸市企画のシリコンバレー・ツアーに参加して、その時に受けたアドバイス(「問題が起こった際は原因が自分にあると考えること、それで物事は前に進む!」)が印象的で、それを実践することで、現在、本人も自慢できるほど優秀な「ホワイト」会社(法令順守、残業なし、経営者は別)になることができた。新しい技術習得のための「社員勉強会」やルワンダ視察とルワンダ学生のインターンシップ受け入れ、優秀な従業員を8人も雇用、その殆どが自分(31歳)よりも年上である(しかし問題ない)、など、教科書に出てきそうです。スタートアップ期もクリアして、成長期に移行しつつある、成功事例のITベンチャーです。     

                        https://www.unzip.co.jp

 

 これらの3社は、マネジメント面では、もちろん、いろいろな課題があるようですが(グループディスカッションで活発に議論されました)、経営理念やビジネスモデルは素晴らしいものであり、事業の社会性は高い。ステークホルダーからの信頼も厚い。何といっても年齢が若いことから、成長率は高く、伸びしろも大きい、そのように感じました。今後の発展をお祈りするとともに、またの登壇を期待したいと思いました。

 

 当日、雨の中をご参加下さった皆様に、この場を借りて、厚く御礼を申し上げます。発表して頂いた3人の皆様からは、「むしろベンチャーを志した人間をみなさんで応援してくださる会、という印象でした」、「これまでを振り返る良い機会でした」、「貴重な機会を頂き有り難うございました」など、ご参加の皆様にも御礼のメールを頂きましたので、申し添えておきます。          (責:K.Konishi)